＜　かみさん と 私　＞

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房　咲　き　？？　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 　 1 / 2

私は年初に、これまで２年間鉢植えで育てて来た薔薇の「マリア・カラス」 　　をオーナー（カミさん）の意向もあり、地植えにした。先ずは確実に根付いて 　　くれればと思っていたが、春の芽吹きが予想以上に遅れ、随分と気を揉ん 　　だものである。 結局、この春の開花はおよそ１ヶ月遅れとなったが、私は 　　薔薇が無事活着したことにとりあえず安堵し、開花の遅れは植栽場所の不 　　十分な日照条件と４，５月の天候不順の影響であろうと総括したのだった。 　　　ひと月遅れの開花が始まった６月上旬、私は株元から出た新しいシュート 　　の先端に小さな蕾がついているのに気付いた。「さて、この蕾は放って置い 　　て良いものやら？」 と首を傾げ、手元の園芸書を調べてみると、「蕾が見え 　　て来る前に先端部を折り取る」 と記載されている。 「しまった！　やりそこ 　　なったか？」　私は後れ馳せながら蕾がついた先端部を５～６センチ切り取 　　った(6/6)。 それから２週間余り経過し、６月の花がすっかり終わった頃、 　　このシュートの切り口から出た枝がやや徒長気味に伸びて、先端に再び蕾 　　をつけたのだ。 最初は一つと思われた蕾は、一週間もすると少し下から急 　　速に成長してきた６個の腋蕾に囲い込まれてしまったのである。 　　　最初の蕾が開花する時、腋蕾の花茎に周囲から抑えられて非常に窮屈に 　　なりそうだった。私はカミさんに　「シュートの処置をミスしたのか、変な形に 　　なってしまったんだ。 綺麗に咲かせるために腋蕾を半分くらいに間引きしよ 　　うかね？」と訊いてみる。するとカミさんは、「折角ついた蕾だからそのまま 　　全部咲かせても良いんじゃない。枝も元気だし。真ん中の蕾が咲いて周囲 　　に支えるようだったらその時点でその花を切ったらいいわ」 と言うのである。 　　私は 「そんなものなのかねえ」 と応えて暫らく様子を見ることにした。 　　　中央の蕾が開花し始めたのはシュートの処理をしてから丁度１ヶ月後の 　　 7/6。半開きの中は良かったが開花が進むと私が考えていたように花弁が 　　腋蕾の花茎（枝？）の何本かに当ってしまった。 カミさんの言に従って花を 　　切り取ったが、この時腋蕾は花茎が伸びてこの花の１０センチくらい上方に 　　並んでいたのだ。 腋蕾が咲き始めたのが7/10。 ３日後には６個全て咲き 　　揃ったが、先に咲いた花は既にその花弁を虫に食われ始めていた。 それ 　　をカミさんに注進に及ぶと、彼女は 「全部がやられないうちに切ってしまい 　　ましょう」 と言って枝をバッサリと切り、「このままドライフラワーにした方が 　　よさそうね」 と、軒下に逆さ吊りしたのである。 　　 ６個の腋蕾が咲き揃った枝の印象はさながら房咲きの品種を見る感があ 　　った。私がこの薔薇を手がけて以来、初めて経験した状況である。樹の成 　　長が最も旺盛な夏の栄養生長期にシュートの処理を誤り、その後に付いた 　　蕾を摘蕾もせず野放図に咲かせてしまうとこうなる、ということのようだ。 　　花を切り取った後の枝は徒長気味で、株全体から見て少々バランスを失っ 　　ていた。今後は逐次樹形を整えて行く目配りもしなくてはならないようだ。 　　未熟なガーデナーの前途は相変わらず多難である。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（２００６年　７月） 　　　　　　　　　　　　　　目次へ　　　　　　　　　　　　　　次頁へ 　　＜今年６月の「マリア・カラス」＞　( '06.6.13 )