| ＜ 吹 き よ せ ＞ |
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| 風 が 恐 い |
台風２２号が幸い日本へ大きな影響を及ぼさずに過ぎ去り、ようやく今年 の台風シーズンは終わったように見える。振り返って見ると、今年、首都圏 は３度も台風に見舞われた。 台風の本土への接近数は、平均的には年５ 〜６、上陸数は３前後と言われるから、首都圏に関する限り今年は台風の 当たり年だったということになる。これは偶々今年の気象条件がそうさせた のだと理解するしかないのだが、私的感覚では、この一、二年に首都圏が 台風に襲われる頻度が増えたような気がしてならない。 因みに、最近４年間の、首都圏への台風の襲来状況をチェックしてみる と、平成１１年、１２年の２年間はゼロであったものが、昨年は１１号(8/22)、 １５号(9/11)の２度、今年は６号(7/11)、７号(7/27)、２１号(10/1)の３度を 数えた。 このうち東京２３区を直撃したものは昨年の１５号と今年の２１号 である。 昨年の１５号は、朝、鎌倉市付近に上陸して東京２３区を直撃したが、上 陸まで進路が迷走した ノロノロの雨台風で、風による被害は少なかったよ うに思う。ところが今年の２１号は状況が違っていた。南太平洋上を強い勢 力を保ったまま足早に北上し、川崎市付近に上陸して猛スピードで東京２３ 区を通過した後、東日本の海岸線寄りを北海道まで駆け抜けた、暴風と大 雨を伴った強い台風だったのである。 各地で瞬間最大風速５０メートル前 後の記録的な強風を観測し、家屋の損傷・倒壊、停電など、暴風による被 害が相次いだ。特に茨城県で東京電力の送電線鉄塔が９基も倒壊した事 実は人々に少なからず衝撃を与えたのではなかろうか。 実のところ、台風２１号が気象情報に登場し始めて間もなく、私は少しや ばい事になるのではないかと危惧した。 日本の南海上には夏場のように 進路をブロックする強力な高気圧は存在せず、台風はこの数年間に上陸し たどの台風よりも強い勢力のまま首都圏を直撃しそうな状況である。中心 気圧：９３５ｈＰａ、中心付近の最大風速：４５メートル／秒、速度：６０キロ／ 時のデータが私を警戒させた。厚い雨雲を伴っているが、私の恐れたのは 強風である。移動速度が加わって、進路の右側では予想外の強風が吹く 可能性もあった。 ４５メートルの風がまともに吹けば、我がぼろ家の屋根 瓦も飛ばされかねない。それには打つ手も無かったのである。 １０月１日１８時。伊豆諸島が台風２１号の暴風圏に入っていた。刻々と 伝えられる情報では、中心気圧：９５５ｈＰａ、風速：４０メートル、速度：５５ キロ、と勢力は少し衰えていたが、一方では、伊豆大島・最大瞬間風速： ４５・７メートル、石廊崎・同：５３メートル などと強風の観測結果が報告さ れ、警戒感はさらにつのる。 我が家の周辺 （世田谷区）では台風が川崎市付近に上陸したとされる ２０時３０分頃から風が強まり、その一時間後くらいがピークだったように 思う。 後刻、気象情報で確認すると、東京２３区 が暴風圏に入ったのは ２１時頃。 その時点の勢力は中心気圧：９６５ｈＰａ、風速：３５メートル、 速度６０キロとされる。私は恐れていたほどの強風に見舞われずに済んだ ことに安堵しながらも、その後の各地の観測結果や被害状況を見聞きして、 高速の風台風の恐ろしさを実感した。やはり台風の進路の右（東）側に当 たる平野部では５０メートルを超える暴風が吹きまくったようで、その被害 の最たるものが送電線鉄塔の倒壊だったようだ。 東京電力の送電線鉄塔は瞬間最大風速６０メートル／秒の風に耐えるよ うに強度設計されていると聞く。 しかし、実物の鉄塔がこの風速で耐久試 験されたことは無かったに違いない。現実にはまず起こり得ない気象条件 を基準にして、それに何某かの安全係数を掛けて設定したであろう強度基 準。それがまだ万全でないと、図らずも 台風２１号 の強風が明らかにして くれたわけである。 将に、風恐るべし、というところであろうか。 （２００２年１０月） 目次へ |