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| 受 難 の 白 樫 2 / 2 |
私は昨年の１１月半ばから今年の年初にかけて、切り倒してから２年近 く家の裏で乾燥させていた白樫の丸太と格闘を演じた。長さ３メートル余、 径が６センチから９センチと不整形の、それも所々節がある硬い丸太を、 刃のなまった鋸と、鉋と、鑿一本で加工し、小さいながら椅子を一脚製作 したのである。 嫌と言うほど硬い材を切れない刃物で挽き、削りして、や たらと時間がかかった。 挙げ句の果てに腰と手首を痛めてしまい、カミさ んに「なんでそんなに頑張るの？」と笑われる始末。 それでも私はコツコ ツと作業を進めた。そして、正月の五日、輪切りにした丸太を寄せ木細工 で仕上げた座面をセットして、小ぶりながらも どっしりと重い白樫の椅子 が誕生した。 この時、私は不本意ながら切り倒した白樫の、いわば三年 越しの鎮魂の儀式を終えたのである。 （２００３年 １月） |
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