秋も深まり、神田川沿道の山茶花も今や盛りである。少し遅れ気味の楓や
もみじの紅葉もかなり進んできた。
この二ヶ月間 神田川でカワセミを見かけたことはなかったので、一ヶ月前
の井の頭池での瞥見が最新のコンタクトということになる。
今日もいつものコースを辿り、井の頭池に丁度四時半ごろ到着。池の南端
から反時計回りに前回カワセミを瞥見した北端まで辿るが何事も起こらず、
そのまま水生物館の横を通り、その正門前から対岸に井の頭弁財天を望む
岸辺に出た。すぐ左手にある小さな稲荷神社の参道に入って樹間から対岸
方向を見やった時である。
岸から十五メートルほどの水面に六、七十センチの長さで 鉄パイプが杭の
ように突き出している。 その先端にカワセミがチョコンととまっているのを発
見したのだ。獲物を狙っている様子ではなく、遠くを眺めるような姿勢を取っ
ている。最初は弁財天の方を向いていたが、五分ほどで左を向き、さらに五
分ほどで右に向きを変えた。そのうち、何となくもぞもぞして落ち着かない様
子を示したが、いきなり白っぽい糞を飛ばし、次の瞬間体を翻して飛び去っ
たのである。樹影に邪魔され、行き先を見定めることは出来なかった。
今日は井の頭池で久しぶりにカワセミに対面した。 最近、神田川の方で見
かけなくなっていたのは、彼らが夏場の行動範囲を狭めて、井の頭池の方に
生活の拠点を移したからであろう。これから冬にかけては、川は水量が減少
して、ダイビングで魚を捕食する彼らにとっては条件が悪くなる。寒い冬は彼
らも巣穴で過ごす時間があるのだろうか。 彼らの営みを僅かに垣間見たに
過ぎない私には想像もつかない。
このところ目に見えて日脚が速くなってきた。ウオーキングを兼ねての私の
カワセミウオッチングもそろそろ シーズンオフ ということにしよう。◇ ◇ ◇
前頁へ 目次へ