＜　やぶにらみの動物誌　＞

目次へ　／　次頁へ

和田堀池のカイツブリ／後記　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　 　 　　　　　　1 / 2

１０月半ばの秋晴れの午後、散歩がてらに和田堀公園まで歩いてみた。 前回訪れたのは 　　　９月の初め。その時、公園の森は既にそこはかなく秋の気配を漂わせていた。それからおよ 　　　そひと月半。広葉落葉樹は一段と秋の装いを強め、一部は僅かながらも美しい黄葉・紅葉を 　　　見せ始めていた。 　　　　この日も水鳥の様子を観察しようと和田堀池の水辺を東岸側からゆっくりと反時計周りに 　　　回ってみる。歩き出して直ぐ目に付いたのは水面をゆったりと遊泳するオナガガモの小さな 　　　群れ。夏の間は北へ渡っていた彼らは既に戻って来ていたのである。池の北東端のポイント 　　　ではいつもの様に カワセミ・ファン が数人待機していた。話を聞くと午前・午後を通してカワ 　　　セミはまだ姿を現していなかったらしい。主役の登場をじっと待つ愛好家の辛抱強さに敬意 　　　を表しつつ池の北端を回り込んで西岸へとたどって行く。やがて西岸の中程辺りまで歩いた 　　　時、中島の岸辺近くからピーピーという聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきたのである。 　　　　目を凝らすと二羽の小さな水鳥の姿が認められた。 カイツブリの親子だ。 そのうちこちら 　　　岸に寄って来たので足を止めて観察する。 幼鳥は随分と成長して体の大きさは親鳥と殆ど 　　　変わらないくらいになっていた。親鳥が採餌のために潜水すると浮上地点が判るのか、急い 　　　で水上を移動してピーピー鳴きながら体当たりする勢いで親鳥に餌をねだるのである。 しか 　　　し親鳥の対応は１ヵ月半前とは全く違っていた。餌を与えるのではなく、嘴でつついて度々幼 　　　鳥を追い払ったのである。そしてさっさと遠くへ泳ぎ去ってしまう。どうやら子供に自立を促す 　　　時期に入っているらしい。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　スナップ集　（１）　（画像をポイントしてください）

目次へ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　次頁へ