 |
 |
| 前頁へ ／ 目次へ |
| 異常気象の年 2 / 2 |
・暖かい晩秋と初冬： 9/30に最後の真夏日を記録。１０月以降の気温も概ね平年より高めに 推移し、12/5には都心部で２４・８℃の、１２月としては観測史上最高の 気温を記録した。１２月中旬以降も平年並みかやや高めの気温が続い ているようで、また暖冬となる気配もある。 ９月下旬、少なくともこの２０年は咲いていなかった ユッカ が開花して 驚く。１１月中旬にはツルバラ（一季咲き）が、春に比べて小ぶりながらも ポツリポツリと開花を始め、例年なら殆どの葉を落として休眠に入る１２ 月中旬に至っても未だ緑の葉を蓄え、数は少ないが花を咲かせ続けて いる。このバラを植えてから十数年になるが、初冬に開花したのはこれ が初めて。また、これも狂い咲きであろうか、１２月初旬には月桂樹（例 年は４月上旬に開花）がかなりの数の蕾を付けていた。 多年生植物の状況は、連続する過去の気象環境の影響をも引きずってい る可能性はあるものの、前年（平成１５年）の桜や椿、ツルバラなど大方の 開花時期や年間を通しての生態はいずれも平年並みだった。 それだけに 椿の早咲きと一季性ツルバラの冬咲きが、私にこの年の気候の特異性を強 く印象付けたのである。 これが一過性の現象で終われば良いのだが、同様 の気候がまた繰り返されると、この現象が次シーズンに持ち越され可能性 が強い。そうなると、私個人的には、椿はいざ知らず、不得手ながらもこれ まで何の躊躇もなく行ってきたバラの冬の手入れが悩みの種になりそうだ。 植え替え、剪定、施肥などの作業のタイミングをあれこれ迷わなければなら ない事態が想定されるからである。 さて、１２月に入ってからこの年の異常気象を裏付けるニュースが幾つか 聞こえてきた。 早くも梅が咲いた、菜の花が満開だ、フキノトウが出た、ヒ マワリが咲いた、等々である。これらは驚きはするが楽しいニュースとして 聞くことが出来た。しかし、杉の雄花が猛暑で多量に育っていて、春先から スギ花粉が猛烈に飛びそうだ、など言う話は全く歓迎出来ないニュースだ。 ところが、これはまさに異常気象がいとも簡単に環境問題をもたらすことを 示す身近な事例である。そうと気付いて、私は異常気象を自らの趣味の世 界で花期がどうのこうのと些細なことを論じていた自分を反省したのだった。 近年、世界各地で異常気象と表現される気候の変動が原因でもたらされ る自然災害が多発している。 それらは大雨、洪水、旱魃、熱波、寒波、巨 大台風、生態系異常（イナゴの大発生）等々、様々な形で現れており、まさ しく地球規模の現象になっている。昨今ではこれら異常気象が地球温暖化 等、地球全体の環境変化と関連づけて議論されるようになったが、その原 因を突き詰めて行くと、結局それらはこれまでの人類の営みそのものが作 りだして来たということに帰着しそうである。止まることを知らない人類の欲 望は地球環境破壊を何処までも進めて行く。国のエゴ、個人のエゴに歯止 めがかけられない状況が続く限り、やがて自然災害の多くは天災ならぬ、 人類が自ら招いた人災と位置づけなければならない時が来るのであろう。 そして人類は地球環境破壊の付けとして予想も出来ない手痛いしっぺ返し を食うに違いないのである。 異常気象、恐るべし、である。 （ ２００４年 １２月 ） 前頁へ 目次へ |
|
|